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タイヨウのうた

『タイヨウのうた』
小泉徳宏
☆4.5

正直ほんとに辛くて苦しかった。
自分がどうしても観れない(鑑賞したくない)タイプの映画だったから。
最初から最後までずっと苦しい。ずっとずっと苦しい。
これだから自分はどうしても先天性の病気の映画は大嫌いなのだ。
だって苦しいから。

辛くて苦しいものは見ていたくない。
大抵の物事は辛くて苦しいことなんて「原因と結果」という論理で片付けられるから、自分は感情移入出来ない。
ただ、先天性の病気は違う。
とりわけ、必ず死んでしまうような病気がダメで「死」というスイッチさえ踏まなければどんな不幸も精神次第で幸に変わる術があると思っているから、自分自身で解決する具体案が思いつかなくても、こういう思想の持ち主というだけで、自分にとってはその人は幸せになる余地が残されているのだ。

ただ、必ず死んでしまう先天性の病気を抱えている人はどうだろう。自分は辛くて苦しい。だからどうしようもなく感情移入してしまう。どれだけ出演者の演技が"酷かった"としても、だ。
だから観たくない。辛いのだ。

話は切り替わるが、この映画は昔話題になった。
YUIが主演で映画をやっている、と。
当然昔から観たいと思っていたが、機会がなく、気づいたら自分の中で忘れ去られてしまっていた。
ファンとして一生の不覚と言って良いだろう。
まぁ、とあることがキッカケで音楽系の映画である、という淡い記憶とともに鑑賞をした、という次第である。

過度な感情移入は、考察を鈍らせる、と捉える。
そして私は考察なんてものは鈍れば鈍るほど良い作品だという思いがある。
だから☆を4.5にした。

それがどれだけ題材に頼っていようが、プロットが拙かろうが、演技力や表現力が無かろうが、である。

皆さんは平坦さを帯びている作品は好きだろうか。
私たちが生活している日常の多くの時間は平坦である。
波の部分を切り取ったものを映画とすべきか、平坦も波も日常に寄せたものにすべきか、はたまた世界観に則した凹凸の作り方であれば常にそれは「リアリティー」か、また、リアリティーなど必要無いのか。

『そこのみにて光輝く』という作品がある。
原作は小説だが、私はこの映画を観た時に、リアリティーを強く意識していて好感の持てる作品だな、と思った記憶がある。少なくとも作品序盤はそう感じていた。
申し訳ないがどんな話だったかは微塵も覚えていない。

ちなみに私は物語というレールの上に伏線だけしか敷かれていなければ、それはファンタジーでもリアリティーでもない"物語"と認識する。AやBという物を語っているに過ぎない、という意味にしておこう。

脚本家は、基本的に2時間そこそこの枠にリアリティーとエッセンスの比率を考えて作品に落とし込む。
又は、2時間-エッセンスでリアリティーを算出する。
再度言うが、基本的には、である。

結論から言うと、
『そこのみにて光輝く』は全く好きじゃなかった。
ただし、同じように平坦だった
『ふきげんな過去』は文句無しの☆5評価を自分の中で付けている。

少なくとも私は、興味のないリアリティーをわざわざ映画の画角で観測したくはない。
それはリアルで充分味わえるものだと思っているからだ。
映画監督が、【創る】という行為と【創られたものであると認識されること】の狭間で如何に葛藤しているかを一度考えてみると良い。
この葛藤の無い監督の作品の9割は偽物だから。


私は今作の主演のYUIの演技に悪い意味で唸った。
「演技は上手い下手じゃない」
という持論を掲げる私に、下手と言わせる気か、と。
しかしこの映画はYUIでなければならなかった。
多分、そう思ったのだろう。そう思ったのでなければああはならない。そういう解釈をしている。

他俳優陣は圧巻だった。
まさにキムタクドラマの構図、と言った感じ。
こういうことを書く時に"演技力"という言葉を使うのは凄く嫌いなのでそういう表現はしないが、単純にとても良かった。

舞台設定が神奈川県民なら馴染みの場所だったり、アジカンを知ってる人ならちょっと心が揺れる「七里ヶ浜」だったり、そういう部分は好きだった。
余談だが、序盤に江ノ島の映像が流れたのだが、YUIの『es.car』という曲を意識してるのかな?と我ながら気持ち悪い気づきを得たが、本作と曲の時系列的にあり得ないことが判明した。

あと、驚いたのは作中一曲目が『It's happy line』であったこと。
二曲目の『Skyline』はまだ分かるが、選曲が渋すぎではないか?と思った。
観賞後、放映時期を見てみると思ってたより昔で楽曲自体が多分かなり少ないので納得。


ちなみに作中で登場する先天性の病である「XP(色素性乾皮症)」については、本来の症状と若干違うよな、と思いながら観ていた。というのも紫外線に当たると大変である、という症状に強く着目していたが、実はそれだけではないみたいなことをどっかで見たか調べたことがあったからである。



とにかく、結果論的に☆は4.5とする。
私はもうこういう作品は心の底から観たくない。
観ていて辛いので。

あ、あと、この監督は結構良いんじゃないかな。うまく説明出来ないんだけど、多分良い監督だと思う。
いや本当、うまく説明は出来ないんだけど笑。
多分、いつも「気になりまくるようなこと」が「全く気にならなかったから」だと思う。

余計なことを思わなかった、って言うのは多分良い監督だっていう証拠だ。

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