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十二人の死にたい子どもたち

十二人の死にたい子どもたち
堤幸彦
☆2.5

原作は冲方丁の長編ミステリー小説(未読)。

この感じなら原作は結構面白い気がする。
日本に数多く生息していると言われる設定やプロットに潔癖な人はまず見てはならない。

エンターテインメントとして観る分には退屈しないので割りとオススメ。

あらすじ
表題の通り廃病院に十二人の死にたい子どもたちが集団自殺を敢行するため、インターネットを通じて集まる。


良かったところ
①キャストがかなり自分好みだった
黒島結菜という女優を知った。
性癖にとても刺さる。好きだ。
男女ともに結構みんな好きだった。
橋本環奈も出ている。ビックリした。

②「ヘルペス」
良かった。ネタのようでネタじゃない。
シリアスな場面にああいった台詞をぶち込む感覚が好み。

③結末
俺は好き。


悪かった点
100個くらいある。
3つ選出する。

①ミステリーorシリアスにすべき
この作品はミステリー&シリアスであった。
これじゃ駄作になってしまう。

ミステリーとして出来が良くなくて、その要素をある種の舞台装置としてシリアスに持ち込む感。

端的にどちらかで良い。
ミステリーとシリアスっていうのはこういうエッジの効いた題材だと凄く噛み合わせが悪い。

何故かと言うと、自殺志願者が集まって集団自殺をする、という発想優先(山田悠介的な)に見えてしまう設定に対して、小説なども含め色んな作品を見てきた人はシリアス脳になりにくい。

シリアスを繋ぎ止めるポイントをミステリーの随所に散りばめて、終盤に飄々と帰ってくるシリアスに共鳴する愚かな鑑賞者はもう少ないのだ。

つまりこの作品は"置き去りにされたシリアスと、取って付けたようなミステリー"という見事に中途半端な仕上がりとなってしまっているのだ。

②ミステリーが分かりにくい
ミステリーに興味が無いから私は平気だったけど、なんていうかミステリー好きな人からしたら地獄そう。
何故かと言うと、ヒントが少なすぎるから。
向こうが用意した舞台で、こっちが知らないアイテムをバシバシ使ってくる感じ。
推理させる気がないミステリーとでも言おうか。
簡単に言うとミステリーとして一つも面白くない。

③メッセージがシリアスなのにキャラクターの行動がシリアスでない
案外、一番酷いのはここ。
『パラサイト』でも話した通り、私にとってこの【メッセージと世界観の不一致】は一番その作品を認めない理由になる。

例えば、十二人の子どもはそれぞれみんな「自分がここに来た理由」を語ったりする。
これってマジで必要無い。

シリアス展開に持ち込もうとして台本通りに動いている"人形感"が出てしまうから。

ではどうすれば良かったかと言うと、
【ミステリー要素を皆無にして、全部回想に尺を回せ】。
これである。

回想というのはそれぞれのキャラクターの過去を"作品世界に表出せず、鑑賞者だけに伝える"素晴らしい手法である。
この作品に持ってこいの手法なのだ。

この、何故か全員が語り始めるやり方に鑑賞者が抱く感想は
「なるほど、来るべきシリアス展開に向かって着々と土台を作っているんだね」
という冷めたものになる。


こんだけ酷評しておいて2.5なのは、メッセージが好みだったからである。
集いの案内人である人間は、著者の信念の投影に思われるが、それが個人的に好きだった。




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