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君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい
月川翔
☆4.5

端的にめちゃくちゃ良かった。
同時にこの作品が好きじゃない人の感覚もわかる。
特に女の人は合わないかもしれない。

というのもこの作品、新海誠的な気持ち悪さがあったりする。
作者の理想の女性像がセリフを言わされている感じ、とでも言おうか。
そこで引っかかるか引っかからないかがおよそこの作品の是非の全てであろう。

この作品は結構話したいことがある。
何故ならこの構成じゃなければ間違いなく☆5だったからだ。
なんというかこの作品はテンションが上がりきらないジェットコースターみたいなもどかしさがあるのだ。

致命的な点を二つ挙げよう。

【以下ネタバレ含】






①図書室の少年に語る構成
これはない。これだけはない。
こういうのってどこまでを大衆的に作るか、どこまでをストイックに作るかのせめぎ合いが重要だと思っていて、図書室の少年に語る構成だけは受け入れられなかった。

引っ込み思案で他者との関わり合いを避ける主人公が、図書室の生徒に過去の恋の話を延々と語るというのはあり得ない。
ここの構成は本当に終わっている。

というか、この辺の構成をしっかりすればもっとカッチリした作品になっている。
私ならまずこのプロットであれば主人公を教師にしない。
ライン工の底辺とかにする。

教師で図書室の生徒に語りかける、という構成だと回想と現実の進捗が並行しないのだ。つまり作りとして美しくないのだ。
ストイックに作るなら、現実の主人公はただ歩いているでも良い。
黙々と歩いて自販機で缶コーヒーを買ったりする描写を淡々と映し出す。それで良いのだ。
この主人公の人間性はそういった描写の方が際立つし、第三者の反応って全然重要じゃない。
ヒロインの
「生きることは心を通わせること」
ということの裏返し的な構成とも受け取れなかったし。

この作品には現実部分での余韻がないのだ。

②ラスト
キョウコ(ヒロインの友人)のくだり、全カットで良い。
この作品の終わり方は
【没落的な人生をセリフを入れずに表現(現実パート)し、回想にしたがって変化していく主人公が最後に一言だけ誰かに対して言葉を発する】という形でいい。

なので、ヒロインの日記も
読まずに数年取っておいた、という設定に変えて
初めて読んでみる、という部分からスタートでいい。


と、色々書いたが結論から言うととても良かった。
この作品の優れているところは主人公の心情変化かなと思う。そこに関しては"そういう人間"を精微に描けていたと思う。




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